2011年9月13日火曜日

JG9日目『あいち協働ルールブック2004』

JustGivingチャレンジも9日目、現時点で一日分ビハインドです。(東京出張分は除く)

早速ですが、内閣府の「平成十八年度市民活動団体基本調査報告書」によると、NPO法人の総収入における行政からの資金(委託や補助金事業)の割合は、40%を超えるところが半数近く。また80%というところも24%に上るそうです。

政府や自治体だけでは対応出来ない多様なニーズに対し、新しい公共サービスの担い手としてNPOが期待されていると捉える事ができますが、あまりにもそのバランスが適切でない場合は、本来自発的であるNPOの活動が行政中心のものになり、本来のミッションと市民のニーズを見失ってしまう危険性、また財務的な自立を阻害し「予算がなくなれば終わり」という非持続的な組織体質になってしまう事態さえ考えられます。

今回は、あくまで行政からの資金の流入そのものを否定するのではなく、それがいかに効果的に活用されるかという視点で、委託や補助金事業を、ここ数年使われることの多くなった「協働」の一つの形態として捉えました。
そこでNPOと行政の最適なコラボレーションのあり方を巡り、愛知県が地域NPOや社会福祉協議会と共に行った先進的な取り組みとして、2004年に策定した『あいち協働ルールブック』をご紹介します。


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概要)

まず前提として以下の文章があり、あくまで義務づけではなく当事者の実践から、事実上のスタンダードを目指している。(以下、青字は本文から引用)

このルールブックは、NPO と行政が対等の立場で、協議、合意した 事項を取りまとめたもので、全てのNPOに遵守を義務付けるのではな く、協働に当たって、愛知県と賛同するNPOが最大限の遵守に努めることとしています。

次に、協働の意義であるが、ここではあくまで単なる2セクター間のコラボレーションという枠組みだけで考えるのではなく、それが結果として地域住民の自治参画を促す、広がりを持った価値の取り組みであることがわかるだろう。

○自立型地域社会の構築
○県民の社会貢献や自己表現・自己実現の意欲を活かす場の拡大
○新しい社会ニーズの発掘と課題解決
○公共サービスの質の向上
○公共サービスの担い手の多様化


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原則)

協働にあたっては、当然のことながらNPOが行政の下請けではないという「対等の原則」や、それぞれの立場の違いを認識しながら対話を進める「相互理解」等が記載されているが、中でも重要と思われるのは「評価の実施」である。
一般に補助金等の事業は、交付審査の時までは緊張感があるものの、いったん始まってしまえば行政とNPO双方に「後は適切に報告を行えば良い」という感覚が抜けず、アウトカムの確認が曖昧になりがちのように思えるが、このルールブックでは以下のように明言する。

目標とした成果が得られたかどうか、協働の効果が生まれたかどうかの観点を中心に、協働事業の結果を相互に評価・点検し、明らかになった課題を次の協働に活かすことで、県民の納得が得られるよりよい協働をめざす。

また他に特徴的なのは、NPO、行政それぞれが留意する点として、前者には「NPO に対する適切な理解と配慮」として有給職員やボランティアが混在する組織体制への正しい理解、また後者には「公の資金を使う自覚と責任」として県民に対するアカウンタビリティ(説明責任)の意識を求めていることだろう。
これは当たり前のようなことだが、逆に言えばこれまで双方において理解が不十分であったという事実を見てとることが出来る。

下図は本誌から



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基本姿勢)

協働はPDCAによる改善プロセスの原則に基づき、行うこととされる。以下にそれぞれの段階において求められる姿勢を、いくつかピックアップして列挙する。

◎Plan(計画)
・行政とNPOは、双方の良さ、得意分野を活かすために、お互いの立場の違いを尊重する。
・NPOは行政への一方的な批判や要求を行うだけにとどまらず、課題解決に向けて建設的な意見交換や提言を行うよう努める。
・できるだけ早い段階からプロセスを共有することで、 NPOと行政が事業実施の目的を相互に共有できるよう努める。
・行政は、NPOからの施策・事業提案がより有効なものになるように、参考となる資料や情報を分かりやすい形で積極的にNPO等に提供する。

◎Do(実施)
・行政は、委託先の選定に当たって、選定基準の多様化や企画競争の実施方法に工夫を凝らし、できる限り多くのNPOに機会を与えるよう努める。
・行政は、補助を受ける団体の固定化や行政の過剰な関与などによって、NPOの自立性や自主性を損なうことのないように留意する。
・NPOは、その専門性を活かしつつ、マネジメントにおいても信頼が得られるよう努力する。
・NPOは、公の資金を使うことに伴う責任を自覚し、透明性、効率性、有効性の向上に努める。
・行政は、できるだけ手続きの簡略化に努める。

◎Check/Action(評価・改善)
・ 必要に応じて事業実施後に成果報告会を開催し、外部の者の意見も聞きながら評価を行う。
・ 評価を実施した場合は、課題や問題点を明確にし、次の協働の改善に活かすよう努める。


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更にこの後、ルールブックを基に2009年作成された『協働ロードマップ策定手順書』を基に、環境部、農林水産部、健康福祉部、など県政各分野における、より具体的な特定課題の協議から、連携して公共サービスの向上を目指す『協働ロードマップ』が現在策定中です。

『協働ロードマップ策定手順書』には、より細かに協議の場のスケジュール管理や、ファシリテーターの役割と会議の場づくりについてなど詳しくまとめられており、一つのNPO内部での組織体制づくりにも役立つのではないかと思われます。
PDFで量も多くありませんので、ぜひご一読を。


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あいちNPO交流プラザ「あいち協働ルールブック2004」http://p.tl/Mkir
あいちNPO交流プラザ「協働ロードマップ策定手順書」http://p.tl/SlWM

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