2011年10月5日水曜日

JG22日目[番外編]「永田賢介の今後キャリアパス」

こんにちわ、ジン@永田賢介です。ここ2〜3日更新が滞ってしまってすみません。
ちょっと予定より早く、色々と仕事が動き出しまして。言い訳というつもりではないのですが、今日はここで番外編ということで、最近の自分の状況と僕の今後を(勝手に)シェアさせて頂ければと思います。



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8月末に東京から福岡に戻って来ています。この勉強チャレンジに集中するため、福岡に帰った事をあまりオープンにはしていなかったのですが、何かとお誘いがあるとついつい外に出てしまっておりまして。
もちろん、遊びの予定 ということではなく、ミーティングやセミナーでちょっと喋って欲しいという依頼とかですね。

で、そういうちゅうぶらりんな状態ということもあるのか(まあ以前からか?)「ジンさんって何している人?」とよく聞かれます。
9月までは「無職」「お勉強しています」ということにしていたのですが、仕事が一件入った事もあり、10月からは「NPOのコンサル 兼 雇われプロジェクトマネージャーで、フリーランス独立しました」ということにしました。NPO的に言うなら「1人中間支援」でも良いかもしれません。

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元々前職の時から、プライベートで任意NPO団体を作って、夜と週末には自主イベントの他にNPOのコーディネートとかしてはいましたが、やっぱり対象であるNPO自身にお金がないです。
その時は昼の職場からお給料もらってたし、勉強にもなるしそれで良いとしていましたが、いずれはそちらを本業にシフトさせていくつもりだった。

だから僕は、1年間の修行でファンドレイジングを学んで、自分でお金を引っ張って来て「これで一緒にプロジェクトやりましょう、それで僕の人件費や外注費も払ってください」と言えるようになりたかったんです。

東京では、学生でもないのにインターンとしていくつかNPOの活動を回って、尊敬する人に鞄持ちとして師事して、その周りのコミュニティとも関わらせてもらって、短い期間だったですけどファンドレイザーとしても小さな結果を出し、実際に得たことは多かったと思います。

でも、それでも、きっとまだまだこれからで。
東京で教えてもらったものは「スキル」ではなく「在り方」、得たものは「肩書き」よりも「覚悟」だから。

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僕はまだ自分に【値付け】が出来ません。特別な資格を持っている訳じゃないし、前職がブランドになる訳でもない。
自分で仕事を創って、お金を回して、実績を積んでいかないと、自分にどれくらいの市場価値があるのかわかりません、相手に喜んでもらえる価値を生み、正当な対価として受け取れるのかを、見えるようにしていきたい。
というかもしかしたら、その市場そのものをつくっていかないといけないのかもしれませんが。

自分さえ食えればいいなら、多分東京に残っていた方が仕事もあったはず。
でもまずは自分が、そしていずれは、周りの若い仲間達も福岡のNPOセクターで安定した就職をし、人並みの給料をもらって働いていけるようにしたいんです。

実際、10月から約半年間かけて、ハンズオン型のコンサル仕事を一本頂きましたが、逆に言えば今のところ僕の収入源はそれだけ。毎月の携帯代とWiFi代、保険を払ったら、ふーっと飛んでいってしまう額です。
実家に甘えさせてもらっている今の状況から、少しでも早く脱さなければならない。けれど、収入のために下手にアルバイトや興味の無い仕事に手を出してしまうと、いつまで経ってもその場しのぎになってしまう。

どこで、ぎりぎりのラインを引いていくか。

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きっとこれから暫くは、かなりしんどいと思います。まだまだ新しく知るべき事、引き続き学ばなければならない事も沢山ある。でも大変有り難い事に、福岡にも多く学ぶことができるメンターも見つかりました。(というか、実は東京に行く前に勝手に自分の心の中では決めていたのですが)

「自分ならできそう」と思ったからチャレンジするんじゃなくて、「自分がやらなきゃいけない、やるべき」と思ったから、出来るようになる地点まで行くしかないだけ。

「1年間福岡を離れてて久しぶりだけど、全然変わらないね」って言われる位がいいんです。僕は変わる為に変わるんじゃなくて、変わらない為に変わり続けていきたい。ゆっくり、急ぎながら。

まずは週末の「コレクティブハウジング全国大会」までで、きっちり東京での役目を一旦締める。それでちょうど福岡を離れてから1年。

いつの間にか 

うっかりと 

でも確かに 

僕は人生の節目を超えていきます。


皆様、今後ともどうぞ宜しくお願い致します。


このチャレンジに共感した!役にたった!応援する!と言う方はぜひ
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 *ちなみにこのご寄付はもちろん、僕の収入になったりはしませんので。笑

2011年10月2日日曜日

JG21日目「会議が絶対うまくいく法」

本日ピックアップしました本はこちら。
全ての組織において重要であり、また特に平等な力関係と民主的な意思決定を主とする非営利組織においては、特にマネジメントの難しさが表れるところであり、また本質ではないかと思います。

1976年に書かれ、2003年に日本語訳された古い本ですが、今読んでも非常に普遍的で重要な基礎が押さえられていますし、また、当時においてはかなり先進的/革命的だったのではないかと思われます。

(ちなみに著者の1人マイケル・ドイル氏はインテル、AMD、GE、IBM等様々な一流企業にファシリテーションの技術を導入してきた、著名な戦略コンサルタント&ストラテジストだそうです。)



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1)なぜ会議は重要か

ほとんどの組織において「会議」は毎週毎月結構なペースで実施される。通常、人件費では7~15%がその負担にあてられるそうだ。
しかし、一方において「会議は踊る、されど進まず」と評されるように、一辺倒の儀式のように形式張っていて、その効果が実感されないという声も良く聞かれるのではないか。

会議は、1人では解決できない問題を複数の知恵を持ち寄ることで解決していく、また意思決定のプロセスに組織のメンバーを参加させ主体性を生むための手法だ。その成否の評価は「結果」と「プロセス」という2つの基準によって計られる。

まず、この本の最初に、会議を成功させるには、出席者全員が一つの問題、一つの進め方に同意していることが絶対条件としている。
●何を解決するか・・・コンテンツ(問題/話題/議題)
●どのように解決するか・・・プロセス(アプローチ/方法/進め方)
これらの前提を共有することにまずは力と時間を割くべきであり、ここが共有されない限り、議論は一方的なものかもしくはバラバラになってしまう。

会議における「コンセンサス(合意)」は、誰かを説得したり妥協させたりすることではなく、全員納得出来る状況を作り出すまで協力し合うという強い意志であるとこの本では定義されている。
多数決のような調停手法では必ず「Win-Lose」の関係になってしまい、それは共同作業ではない。意見の違いは自然なことであるという前提の上に立ち、ベストではなくても皆が納得できる解決策を出せることが「Win-Win」の状況と言えるだろう。


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2)役割分担

本書の中で取り扱う会議運営手法は「ケース・メソッド」と呼ばれるものであり、いまでこそ少なくなった「リーダー=議事進行役」という枠組みを廃し、参加者の役割分担を明確にしている。

「マネージャー」「ファシリテーター」「メンバー」「書記」
以下に、それぞれの役割を確認していこう。

A.マネージャー
責任、権限を持ち、最終的な判断を下すリーダー。会議のプロセスをコントロールしようとしてはいけないがメンバーの1人といて議論には参加する。
最終的に結論が出ない場合の判断、また決定事項の実施と普及も行う。

B.ファシリテーター
完全に中立な立場に立ち、議事のスムーズな進行に尽くす役割。全員が発言しやすい前向きで建設的な雰囲気を作り、またそれを阻害するような個人攻撃や批判のみの発言、1人だけが長時間喋り続ける状況を避ける。
また「コンテンツ」と「プロセス」を区別し、整理して、どのような議事進行を行うかを参加者の同意を得ながら決めていく。

C.メンバー
会議の中心であると同時に、ファシリテーターや書記の監視役でもある。100%中立になれる人間はいないので、彼らの考え方や感情が会議に影響を及ぼすようであればそれを注意する。

D.書記
ホワイトボードもしくは模造紙に「会議メモ」を作成する。内容は箇条書きで構わない。可能な限り半円形の座席配置にすることで、参加者の意識とエネルギーをメモ(議題)に向けることが望ましい。具体的効用は以下。
・参加者がメモを取らず会議に集中できる
・議事が適切な順を追って進行し・また遡らずに済む
・遅刻者も現状を把握しやすい
・会議のプロセスを可視化する
・図や表を描くことができる
・個人のアイデアをグループのものとして取り扱うことができる。
(人間関係に左右されず価値・有効性の評価をできる)


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3)タイプ別会議の進め方

一口に会議と言ってもその種類は様々である。それぞれの目的に応じた開き方、進め方をしなければならない。

ア.問題解決のための会議
現状を変えることが問題解決であるならば、まずはその現状を「問題」として認識するという点を共有しておかなければならない。また、メンバーの中に「どう取り組むか」を知っている人がいるということも重要な条件だ。

イ.意思決定のための会議
ピラミッド型の組織では最終的な決定権を持つ人間が限られている、また企業の取締役会のような水平的な組織であれば多数決にならざるをえない場面もある。
会議の前に必ず「どのように決定するか」「誰が決定するか」をメンバーに周知しておかなければ、強引に押し切られたと感じたり、また、形式だけであったと思われかねない。

ウ.計画を立てるための会議
短期的な実務的計画であれば、なるべく参加者が少ない方が早く決まりまた詳細を考慮することが出来る。逆に長期的な目標設定や戦略検討であれば、多くの人に参加してもらった方がその意識を高めることができるだろう。

エ.報告/発表のための会議
このタイプの会議が最も間違った方法で運営されやすい。単なる報告であれば他の手段で構わないし、もし報告を聞いた後に問題の所在を明らかにして解決に向かおうとするのであれば、質疑応答や問題解決型会議へのシフトは必須になるだろう。

オ.評価/フィードバックのための会議
結果を出すための会議とは大きく正確が異なる。通常以上に会議の運営を計画し、批判的にならないようにしなければならない。全員から発言を引き出し記録を残していくため、ファシリテーターと書記の役割が更に重要となる。


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4)問題解決

問題を解決していくには、一定のステップを踏んでいく必要がある。個人レベルでは無意識にでも進んでいくプロセスを全体で行っていくため、ファシリテーターは力を割かなければならない。

ステップ①問題の認知
「問題=悪」ではないということをメンバーに徹底して認知させた上で、複数の角度からの問題の認識をすりあわせていく。問題を顕在化させ、それが放置された場合と解決した場合のシナリオをプランニングする。

ステップ②問題の定義
問題の分野を限定する、同時に狭くなりすぎた場合に見逃す危険性にも注意する。解決策と問題定義を明確に切り離す。

ステップ③問題の分析
問題をいくつかの構成要素に分解して考える。5W1Hや、維持力と改善抑止力の関係性を明確にする。下位問題への分化をする際には一般論と具体的な事例のバランスに注意する。

ステップ④選択肢の作成
ブレインストーミングや形態分析、既存の解決策のリスト化、付箋によるキーワードの切り離しと移動等の手段を用いて、クリエイティブなアプローチを増やしていく。

ステップ⑤選択肢の評価
どの選択肢が「良い」と判断するかは、自然のままでは個人的価値基準に依ってしまう。必ず判断の前に共通の判断基準を作り、合意しておかなければならない。

ステップ⑥意思決定
前提として、単一の案を選ぶ必要は無い。但し、全員一致のコンセンサスを得るまでは、要望を追加していく「足し算」と呑めない条項を削除していく「引き算」を駆使し微調整とし続けていく。

ステップ⑦計画
意思決定の後には実行の方策を議論することが多い、その手法には「フローチャート」「ゴールからの逆算」「5W1Hの明確化」「長期目標と短期目標の設定」などを駆使し組み合わせながら形にしていく。

ステップ⑧実践とフィードバック
まずはテストとしてとにかう実践し、その結果をモニタリングする。失敗を恐れずに適宜修正を加えて解決へ近づけていく。

*主には準備段階である①〜③に会議の時間の多くを割くべきとの注意書きもある。


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今回はちょっと文章ばかり、それも中身をまとめただけのものになってしまいました。
ただ、それでも今後自分がチームをマネジメントしていく時、また、もっと大きなフレームで僕たちが「対話し、合意形成し、自分たちで社会を創っていく」ことに対しても、基礎力を高めていくことができた気はしています。
こちらも師匠の1人から貰い受けましたが、ビジネス名著としてオススメ。

もっと深く学びたい、読んでみたいという方はぜひお買い求めください。
日経ブック&ビデオクラブ http://p.tl/r8wr


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2011年10月1日土曜日

JG20日目「コミュニティデザイン」

今回のチャレンジ寄付先になっている「コレクティブハウジング」という取り組みは、単に人々が集まって暮らす家を造るということではなく、開かれたコミュニティをつくっていくプロセスにその本質があるような気がしています。

そういう意味で、今回の課題図書のサブタイトル「人がつながるしくみをつくる」は、とても親和性が高いかなとか。

つい先日福岡にいらっしゃったにも関わらず、残念ながら講演を聴きそびれてしまった山崎亮さん。改めて本から触れていきます。




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1.風景を創るということ

著者である山崎氏がいわゆる通常のランドスケープデザインから、コミュニティデザインへと少しずつ舵を切ったのは、つまり「ハード」から「ソフト」への移行であった。
「つくる」ことをいったん辞め、デザインの行き先を多くの人の手に委ねる。また委ねると言っても投げっぱなしにせず、「つくるしくみをつくる」ことが彼の仕事だという。

形としての公園が完成したら終わりではなく、市民参加型の「パークマネジメント」という概念を導入したプロジェクトでは、NPO等の市民活動団体をディズニーランドのキャストになぞらえて運営に参加させた。
それはいわゆる「ボランティア」のイメージではなく、楽しんでいる人がいる場所に、更に人が集まってくるというごく自然な営み。

ここで重要なのはきっと「余白があること」だ。
最初から100%完成したものが目の前にあれば、人は消費者となってしまう。山崎氏がデザインした(あるいは、しなかった)場の「ホワイトスペース」にこそ、人が当事者として場に関わっていくこと、そしてコミュティが作られていく理由があるのだと思う。


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2.人を巻き込むしかけ

その後「まちづくり」の請け負い人(ファシリテーター)として全国各地でプロジェクトを進める山崎氏の仕事は、必ず共通して同じ地点からスタートしている。それは、「ヒアリング」。
まち を つくる と言っても、外から人が入って来て、建物を作ったりイベントを打って、一時的に観光客を増やしたり、外からの流れるお金を増やすような文脈の「町興し」とは全く逆のアプローチだ。

その土地に住む、これからもその町に生き未来に責任を負う人々の声を聴く事から始める。対話はこちらが話し始める事からはスタートしない。
昔ながらのムラコミュニティには、古くから続く対立構造や権力関係、また、触れてはいけないタブーも少なくはない。そこから切り込んでいく手段として、彼の用いる手法に二つ興味深いポイントがある。

1つ目…しがらみにとらわれず、かつ素直で純粋な心を持って大人達に接することが出来る部外者「学生」の力を借りる
2つ目…その土地の対立構造の前線ではなく、後ろにいる人々に焦点をあて、そこから仲良くなっていく。ex)地域の「お母さん達」「子ども達」

特に2つ目については、立場や責任を重んじる日本社会において、良い意味で有益な「根回し」であると考えられるし、また、彼が作ったコミュニティでは、その後の維持管理の為にファシリテーター役のスタッフや組織を間に挟んでいることからも、人間関係のアングルづくり・潤滑油に、非常に丁寧な思いを払っていることがわかる。


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3.みんなができること

島根県海士町は、通常、外部のシンクタンクに任せっきりになりがちで実を得ることが少ない「総合振興計画」を住民参画で制作した。
そこに関わった山崎氏が伝えたメッセージは
「1人でできること、10人でできること、100人でできること、1000人でできること。」というもの。

グループワークショップで発案されたプロジェクトをの後に「1人出来ることは明日からでも始める、10人で出来ることはそのままグループのチームで取りかかる、100人、1000人必要なものは行政と恊働していこう」となった。
それは、逆に言えば何でも行政任せにしないということ、私/共/公のラインを探っていくことで、「新しい公共」の担い手としての自覚を目指したとも言える。

更に、最終的にまとめられた海士町総合振興計画の別冊「海士町をつくる24の提案」では、海士町の祭りの象徴であるしゃもじのキャラクターに、それぞれのプロジェクトの発案者を似せた顔を掲載することで、「実行しなきゃまずいなあ」「参加しなかった友人にも見せたい」との声があがり、両面で動線設計が見事にデザインされたものとなった。


デザインとは、何だろうか。
少しでもかじったことがある人なら、一般的には「そのものを綺麗に見せるためのお化粧」であると誤解されていることが多いように感じるのではないか。

311東日本大震災で、山崎氏のstudio-Lと博報堂がコラボレーションして、学生コンペ等を通して生まれた「できますゼッケン」などは、課題解決そのものに至るツールではなく、人々がかかわり合う事での課題解決力を高める為の触媒になる、プロセスデザインであったと言えるだろう。

デザインの可能性(本書より転載)
1)継続を促すデザイン
2)決断を支えるデザイン
3)道を標すデザイン
4)溝を埋めるデザイン
5)関係を紡ぐデザイン


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最後に、山崎氏の関わるプロジェクトは長期に渡るものが多い、長いものであれば10年弱の道のりのまだ半分にも至っていないというものすらある。
一時的ではなく、長く続いていく価値を作る為には、ゆっくり進むことが大事。人が変化のスピードについてこれるように と言う。
しかし、その目指す先に対してだけではなく、きっとその道のりがゆるやかに、しかし一歩一歩未来に近づいていくようなものであればこそ、多くの人が合流することができるのだろう。

結果としてのアウトプット、プロダクト、成果ばかりを見続けることが当たり前になってしまった僕たちの社会が、もう一度その歩む道(プロセス)の豊かさに気付けた時、僕たちは「生きる」ことそのものを目的として生きることが出来るのかもしれないと思った。

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学芸出版社 山崎亮さんインタビュー http://p.tl/Fn2L


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