2011年9月15日木曜日

JG11日目『スティーブ・ジョブス 脅威のプレゼン』

JustGiving11日目。

福岡に戻ってから暫く経つとそれなりにお誘いも増え、今後の仕事の事を考えると、人に会って話をしたいなと思いついつい足を運んでしまうのですが、課題の方が追われてしまいます。
ちょうど今日、福岡の若手NPO職員の集まりで「認定NPO法人制度」に関しての勉強会として、ミニ講師をしてきましたので、そこと絡めてこんな一冊。

本は3部構成になっていますが、後半はより細かくテクニカルな内容になっていくので、今回は第一幕にある「ストーリーを作る」から、少しNPOでの活用を想定した形で、良きプレゼンテーターになる為の基礎をシェアしていきたいと思います。




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シーン1)計画はアナログでまとめる

スティーブ・ジョブスのプレゼンは劇場型であり、さながら映画のようだと評されるが、優れたプレゼンテーション・デザイナーに共通しているのは「まず紙と鉛筆のスケッチから始めること」だという。

パワーポイントのソフトを立ち上げる前に多くの時間をストーリーづくりに割けば、クリエイティブなデザインは自然に決まってくる。逆に最も人の印象に残らない手法は、箇条書きと文章から作り始めてしまう事。語るのはスライドではなく、人だ。

特に、目に見える商品を売るよりも、社会問題とその解決を訴えかけるNPOにとっては、説明よりも人が当事者としてストーリーを語る事の方が重要であると言えるだろう。


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シーン2)一番大事な問いに答える

プレゼンテーションの聴衆が求めているものは何か?それを第一に考える必要がある。
商品やサービスを売り込むのではなく、そもそも「なぜその話を気にかける必要があるか」という問いに対して、明確な答えを提示しなければならない。

複雑な専門用語を用い、自分たちの活動が如何に素晴らしいかを「説明」するプレゼンは、NPOの世界では決して珍しくはないのではないか。
それは「自分たちは良い事をしている、理解出来ない方がおかしい」というような驕りとも取れる。
簡単に言えば「相手の立場に立っていない」のだ。

「人は基本的に自分に関係のない事には興味が無い」これは果たしてドライで悲観的な捉え方だろうか?寄付やボランティアは本質的に自己犠牲ではなく、問題が自分ごとになるからこそ、行動しようというエネルギーになる。
重要なのは、自分達の活動の正しさを証明することではなく「なぜそれは問題か?」という問いに答え、人々の生活や関心と社会参画を繋げる架け橋になることではないか。



iPhoneを発表するスティーブ・ジョブス

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シーン3)救世主的な目的意識を持つ

ジョブスがかつてペプシコの社長であった、ジョン・スカリーを引き抜いた時の一言が逸話として残っている。
「一生、砂糖水を売り続ける気かい?それとも世界を変えるチャンスにかけてみるかい?」

良いプレゼンテーターとは、溢れる情熱を持つカリスマだと言われる。
本人がどうしても達成したい明確なビジョンに向けて、やりがいのあると思える仕事を続けていなければ、どれだけ理論整然としたプレゼンにも人は心動かされないだろう。

私たちは「なぜ自分がそれに真剣になるか、どうしてもやらなければならないか、もしくはやりたいか」ということを、人に強く訴えかけるだけの目的意識を持っているだろうか。

「クレイジーな人たちがいる 」という言葉から始まる、あまりにも有名なAppleのTVCM


 「Think Different. 」
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シーン4)ツイッターのようなヘッドラインを作る

細かい文字がA3両面表裏にびっしりののニュースレターでは、何が大切なのかを見つける事すらできない。
自分達の団体、ミッション、ビジョン、サービスをほんの一文で表すヘッドラインを作る必要がある。簡潔で、具体的で、受け手のメリットが示されていれば尚良い。

そしてその一言が生まれたなら、プレゼンテーションはもちろん、マーケティングのあらゆる場所から人との会話に至るまで、繰り返し同じヘッドラインを使い続けていくべきだ。

以下に、Apple+他の著名企業で使用された有名な「一言」ヘッドラインを転載する。

・アップルが電話を再発明する(Apple−iPhone)
・世界で最も薄いノートパソコン(Apple−MacBook Air)
・1000曲をポケットに(Apple−iPod)
・グーグルなら、1クリックで世界の情報にアクセスできます(Google)
・スターバックスは職場と家庭に挟まれた第3の場所を創る(スターバックスコーヒー)
・各社員に1台、各家庭に1台、PCを普及させたいんだ(マイクロソフト)


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シーン5)ロードマップを描く

ロードマップはその言葉通り、「聞き手を話の迷子にさせないための地図」だ。
始めに全体の見通しを示し、ポイントを明確にする、順番に詳しく説明し、最後に改めてまとめる。

ここで特に効果的だと強調されるのは、「3点ルール」と呼ばれる。一般に人間が短期的に覚える事ができる項目は3であるということは、学会の論文や軍隊の構成でもその実用性とインパクトが証明されており、ジョン・F・ケネディや、バラク・オバマのスピーチも、3センテンス、またその1文で話す内容も3であることが多いという。

ポイントを絞っていくことにより、本当に伝えたいメッセージの優先順位もつけていけるのではないか。


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シーン6)敵役を導入する

ジョージ・オーウェルの「1984年」という小説がある。ビッグ・ブラザーという独裁者を中心にした、双方向テレビジョンでの監視システム下では、言論/思想/行動さえも統制されるという話だ。

Appleは実際の1984年に、当時コンピューター業界全てを飲み込もうとしていたIBMの「ビッグ・ブルー」という愛称をなぞらえ、独裁者という敵にしたてあげるCMを創った。

 



敵役を設定するという、古典的な物語や宗教にも似た手法をとることで、そこに問題を投影することが出来るだけでなく、対比として自らの信念を明確にすることも可能となる。戦略の結果として味方=ファンを獲得することが出来る。

NPOの活動において「敵」という表現に違和感があるなら、「社会課題」としてはどうだろうか。
アル・ゴアが「二酸化炭素による地球温暖化」という悪玉を明確にして、国際社会の支持を集めた事には、非常に大きなインパクトと価値があったように思われる。


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シーン7)正義の味方を登場させる

敵を設定した後にやるべき事は「正義の味方」を投入することだ。社会課題を解決する魅力的な提案と言い換えても良いだろう。

2006年にMacが放映したCM「Get a mac」の日本バージョンは、お笑いコンビのラーメンズが起用された。
Windowsを「パソコン」、Macを「マック」という登場人物に当てはめたこのCMでは、パソコン役はぎこちなく仕事ばかりで融通の効かないキャラクター、マック役は初心者に優しく楽しめるフレンドリーさをウリにしている。



日本ではライバル企業に対して、あからさまにネガティブなイメージをつける広告を打つ事は珍しいが、これによってMacの魅力がより簡単に際立つ事がわかるだろう。

必要なのは「課題」と「解決策」を同時に提示することであり、しかもそれがわかりやすいことだ。

今の社会のどこに「痛み」があって、それを解決するとどのような「癒し」や「素晴らしい未来」があるのか。
NPOに限らず、社会を今より良くする方向に働きかけるつもりでプレゼンテーションする時には、常にそのストーリーを相手からの目線で描いておくことが必要になるだろう。


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